「天職に出会って、活き活きと仕事をしたい」「向いている仕事で、成果をあげていきたい」と、多くの人が願うことでしょう。たいていの人は就職する際に、やりたい仕事や向いていると思える仕事を選択したはずです。
ですが、実際に働いてみると、「この仕事は、向いていないのかもしれない」「自分にはもっと向いている仕事があるのではないか」などと思うこともあります。
今回は、仕事が向いているか向いていないかを判断する方法や、仕事が向いてない事を理由に転職する際の注意点について解説します。
向いてない仕事を続けるべきか辞めるべきかお悩みの方は、ぜひ、本記事を参考にしてください。
仕事が向いてないと感じる要因④選
そもそも、仕事が向いていないと感じる要因は何なのでしょうか。まずは、その主な要因をみてみましょう。
➀思い描いていた理想と現実のギャップ
思い描いていた理想と現実にギャップがあると、「自分はこの仕事に向いていない」と感じやすくなります。
これは、入社1年目の新卒の方や、転職直後の方に起こりがちな現象です。その仕事への理想が高すぎたことも、要因といえるでしょう。
入社前に、たくさんの情報を集めて、企業や業界について研究していたとしても、入社してみないとわからない社風や業界の慣習などはあるものです。社風や慣習が壁となって、思ったことの実現が困難に感じる場面もあるでしょう。
また、華やかに見える業種でも、裏側の日常業務では非常に地味な作業を必要とされることもあります。「やりたいことをやるため」の「やりたくないこと」をやらなければならない現実に、ギャップを感じるのかもしれません。
②自信が持てなくなった
仕事でミスや失敗をしてしまい、自信がもてなくなったときにも、仕事が向いていないと感じる原因になります。ミスや失敗を乗り越えた経験が少ない若い人は、この発想になりがちです。
また、新卒にしろ、転職後にしろ、入社してからしばらく経つと「新人」扱いをされなくなってきます。「慣れていないから」「知らなかったから」では済まされないことが増えてきます。
その時期に上司から厳しい指摘を受けることや、同時期に入社した同僚との比較で、自信をなくすことがよくあります。
実際は、経験不足が原因で自信をなくしている可能性もありますが、「自分は、この仕事に向いていないのでは」と考えてしまいがちです。
③他人の働く環境がうらやましく感じる
社会人になると、他社に勤める友人と仕事の話をする機会もあります。友人から、任されている仕事内容や社風などの話を聞いてうらやましく感じるときもあるでしょう。
そんなときは、自分の仕事内容や職場の嫌な面が目につきがちです。「自分はここにいていいのだろうか」「自分にはもっとよい環境があるのではないか」と、今いる職場とは別の環境に目がいきやすくなります。
また、新しい取り組みや設備が整ったオフィス環境の企業がメディアで取り上げられているのを見て、憧れを抱くこともあるでしょう。
これらは、いわば隣の芝生が青く見えている状態です。仕事に慣れてきて自信がついてきた頃に、今いる環境の欠点が目について、自分にはもっとふさわしい理想の環境があるのでは、という思いを抱く人もいます。
④責任感やプレッシャーからくるストレス
責任感やプレッシャーからくるストレスが原因で、仕事が向いていないと感じることもあります。
たとえば、初めて部下を持ったときや、新しいプロジェクトを任されたときなど、これまでとは、違う立場や仕事内容を経験することになったときに、起こりがちな現象です。
ずっと指示やアドバイスを受ける立場だった人が、初めてそれを自分がする立場になったときは、当然、とまどいや失敗もあるでしょう。新しいプロジェクトはやりがいもありますが、スムーズにいかないことの方が多いはずです。
仕事の立場や質が変わったときに、うまくいかないことが続くと「この仕事、向いていないかも」と感じやすくなるのです。
仕事が向いているか向いていないかを判断する方法③選
先にもお伝えしました通り、仕事が向いていないと感じる要因には、いくつかパターンがあります。ただ、それらのケースに当てはまったからといって、必ずしも仕事に向いていないとは限りません。
次に、仕事が向いているか向いていないか判断する基準について、お話ししていきます。
➀自分の働く価値基準に合った働き方ができているか否か
1つめの判断基準は、今いる職場で自分の価値基準に合った働き方が出来ているかどうかです。たとえば、以下のような項目に関するあなたの価値観が、今の職場でかなえられているか考えてみましょう。
<何のために働くのか>
例)
- お金をたくさん稼いで高い生活水準を維持するため
- 家族を養うため
- 自分自身の成長のため
<何にやりがいを感じるのか>
例)
- 人を支えて感謝されたとき
- 大きな挑戦に成功したとき
- 新しいサービスを生み出すとき
<どういった働き方が理想なのか>
例)
- 風通しのよい企業で、活発な意見交換をしながら働きたい
- 安定した環境で落ち着いて働きたいので、福利厚生が手厚い企業がよい
- プライベートな時間も大切にしたいので、残業がない職場
仕事が合っているか、向いているかというのは事業内容だけではなく、労働時間やともに働く人の気質、会社規模、なども影響します。自分自身の価値基準と照らし合わせてみましょう。
②仕事にやりがいを感じられるかどうか
2つめの判断基準は、仕事にやりがいを感じられるかどうか、です。
仕事にやりがいを感じられていれば、多少の困難があってもモチベーションを維持できるはずです。仕事をすることで活き活きできているか、夢中で取り組めているかを考えてみましょう。
仕事をきっかけに、興味の幅が広がり、日常生活でも無意識のうちに仕事に役立ちそうな情報にアンテナを張っているような状態であれば、仕事に没頭出来ているといえるでしょう。
一方、仕事の喜びを感じる場面が少なく、ストレスを感じることの方が圧倒的に多い状況であれば、その仕事に向いていないかもしれません。
また、職場に憧れの人や目標となる存在がいるかどうかも重要です。将来になりたい自分像が描けない職場では、モチベーションを維持するのは難しいでしょう。
③仕事で成果を出せているか
3つめの判断基準は、仕事で成果を出せているか、です。今の仕事で成果を出せているのであれば、ある程度、あなたはその仕事に向いていると判断してよいでしょう。
その仕事への適性があるから成果につながったのだとも言えるからです。ただし、そこにやりがいや喜びを感じないのであれば、1つめで申し上げました「価値基準」のところで何かミスマッチが起きているのかもしれません。
また、今、成果が出ていなくても、その仕事が向いていないとは一概に言えません。成果を出すには、時間や経験を要する仕事もあるからです。
その場合には、今の仕事に学びがあるか、成長の機会があるかを基準に考えてみてください。学びや成長を感じられているのであれば、いつか成果につながる可能性もあります。「向いていない」と判断するには、早すぎる段階かもしれません。
仕事の向き不向きはすぐにはわからない
そもそも、仕事の向き不向きは、すぐにはわからないものです。何事も「やってみないとわからない」からです。
学生の頃からずっと憧れていた職種についたとしても、「やってみたらイメージと違った」ということは起こりうることなのです。逆に、もともと興味はなかったけれど、やってみたらいつの間にか夢中になっていた、ということもあります。
また、仕事で成果をあげるには一定の期間、継続する必要があることがほとんどです。経験が浅いうちは、うまくいかないことが多いのも当然です。その段階で「うまくいかないからこの仕事は向いていない」と判断するには時期尚早です。成果を出すには、年単位の期間でとらえてみるとよいでしょう。
上司や同僚に仕事が向いてないと言われた場合
上司や同僚に仕事が向いていないと言われたら、正直、ショックですよね。ですが、その言葉で「自分にはこの仕事が向いていない」と判断するにはまだ早いです。上司や同僚の言葉が正しいとは限らないからです。
もしかしたら、相手に何かイライラすることがあったり、ミスに腹を立てたりして、つい口が滑っただけかもしれません。または、他人に常にキツイ言葉をかけるパワハラ気質の人である可能性もあります。
そもそも、あなたが仕事に向いているかどうかは、あなたが判断することなのです。他人の言葉に振り回され過ぎないようにしましょう。
努力次第で、その言葉を覆すほどの結果を出せることもありますし、できることをやってみても「やはり向いていない」とご自身が感じたなら、そのときが判断するべきタイミングです。
向いてない仕事は辞めるべきか否かの判断ポイント③選
向いていないと感じた仕事でも経験を積むことで、成果を出せることもあります。それは、仕事に向いていないのではなく、判断するタイミングとして早すぎたということです。
一方で、本当に向いていない仕事であれば、辞めて別の仕事を選ぶという選択肢もあります。
次に、向いてない仕事は辞めるべきか否かの判断ポイントを解説していきます。
➀時間が解決するものか?
仕事が向いていないと感じる理由が、時間が経てば解決するものであれば、すぐに辞めずに様子をみる手もあります。
たとえば、「今の上司とそりが合わない」「苦手な同僚がいる」などが理由の場合です。職場の人間関係の悩みは、大きなストレスになりますが、人事異動などで解決する可能性もあるからです。
入社から一度も部署やポジションが変わらない人はほとんどいないはずです。定期的に人事異動が行われる会社であれば、そのタイミングを待ってから判断してもよいでしょう。
一緒に働く人が変わるだけで、部署の雰囲気ががらりと変わることや、あなたが成果を出しやすい環境に変わることもあります。
②自分自身で状況を改善できるかどうか?
仕事が向いていない、辞めたいと思う理由を、自分自身で改善できるかどうかも判断ポイントです。仕事内容や人間関係が不満の場合には、人事に配置転換を打診したり、上司に相談をしてみたりすると解決することがあります。
会社全体の給与水準や福利厚生、休日の制度など、会社に掛け合っても変えられないことが、大きな理由であれば、退職を考えてもよいでしょう。
要は、向いていないのは、仕事内容なのか、または職場環境なのか、ということをよく見極めることが大事です。一時的な感情で判断を急いでいないかも、よく考えてみましょう。
③求人情報と自分の勤務先とを天秤にかけて比較検討してみる
向いていない仕事を辞めるべきか迷うときは、求人情報と自分の勤務先とを天秤にかけてみることもおすすめです。不満が一切なく、パーフェクトに理想が叶う職場には出会えないのが現実です。どこを重要視して、どの部分なら譲れるのかを決めることが重要です。
思い切って転職をしたのに、転職先と比べたら前の職場の方が希望に合っていた、なんてことになったら、本末転倒です。求人情報と比較検討したうえで、今の勤務先よりも、やりたいことや価値基準が叶う転職先が豊富なのであれば、退職を決意してもよいでしょう。
求人情報と比較したら、今の職場の方が叶うポイントが多かった場合には、とどまってそこで成果を上げることに注力した方が得策です。
仕事が向いてない事を理由に転職する際の注意点
仕事が向いていないことを理由に転職する際には注意点があります。それを意識しないと、同じ理由で転職を繰り返すことにもなりかねません。しっかりと意識しましょう。
転職活動をする前に、丁寧な自己分析をしてください。
まず、仕事に対しての価値基準を整理しましょう。ここが曖昧になってしまうと、転職をしてもまた辞めたくなってしまう可能性があります。
次に、今の職場のどういったところが辞めたくなるポイントだったのか、何が改善されれば辞めない選択肢があったのかも徹底して分析しておきましょう。同じ理由で繰り返さないためです。
また、あなたが身近な人にどういう人に映っているのかを聞いてみるのもよいでしょう。自分自身で気づけなかったあなたの特性が見えてくるかもしれません。
仕事が向いてないと感じるのに仕事を続ける際、②つの注意点
仕事が向いていないと感じていても、様々な観点から検討した結果、今の仕事を続けると判断することもあるでしょう。その際の注意点をお伝えしますので参考にしてみてください。
➀相談できる人をみつける
前向きに取り組もうとしても、向いていないことを続けるには苦痛が伴います。向いていることに比べて、うまくいかないことが多いでしょうし、うまくいかせるためには、向いていることに比べて何倍もの労力を使うからです。知らず知らずのうちに、ストレスをため込んでしまうと、メンタル面に不調をきたします。仕事のことで相談できる人をみつけておくとよいでしょう。
社内に相談相手がいれば、困ったときに協力してくれることもあるでしょう。相談相手が社内にいなければ、社外の人であっても構いません。誰かに話すだけで、心が軽くなり、また状況が整理されて解決策が浮かぶこともあるかもしれません。
決して、1人でストレスを抱えこまないように注意してください。
②小さな成功体験を積み重ねる
向いていない仕事で、大きな目標を掲げてしまうと心が折れてしまうかもしれません。まずは、少しずつで構わないので、小さな成功体験を積み重ねることを意識しましょう。
本当にささいなことでよいのです。
たとえば、
- 普段、1時間かけているルーティンワークを50分で終わらせる
- 会議で、最低1回はアイデアを出す
- 書籍から得た知識を1日に1つ実践してみる
などです。
このような小さな目標を達成して、成功体験を積み重ねることによって、自信をつけていくのです。日々、達成感を味わえれば、モチベーションアップにもつながります。
まとめ
今回は、「向いてない仕事を続けるべきか辞めるべきか」について、お伝えしました。
仕事に対して「向いていない」と感じるときは、経験の浅さや初めてのポジションに就いたときなど、「不慣れ」が原因のことも多いです。一時的な感情で仕事を辞めて後悔しないように注意しましょう。
向いている仕事か否かについては、仕事に対する価値基準やあなた自身の行動で変えられる状況かどうかが重要な判断ポイントになります。それらのポイントを充分に考慮したうえで、判断をしましょう。
向いていないことを理由に退職をする場合には、しっかりと自己分析と企業研究をして、同じ理由で転職を繰り返すことがないように気をつけてくださいね。
また、向いていないと感じている仕事を続ける場合には、メンタルケアが必要です。相談できる相手を見つけたり、小さな成功体験を積み重ねたりなど、ストレスケアやモチベーションコントロールを意識してみてください。